「健康のためにウォーキングをしましょう」
「毎日15分のウォーキングで運動習慣を作りましょう」
と良く聞きますよね。
ウォーキングって「歩く」という運動ですがこの「歩く」という動作の仕組みって考えたことあります?
実は私、40年間考えたことがありませんでした。
学校の体育の授業でも詳しく解説された記憶もありませんしね。
「歩くのが健康に良いのはなんとなく知っているけどどんな風にでもとりあえず歩けば良いのかな?」
「そもそも歩くってどんな動作なんだっけ?」
という疑問が生まれたので今回は「歩くを考える」というテーマで深掘りしていきたいと思います。
この記事では
- 「歩く」という動作の仕組み
- 正しい歩き方
- 目的に応じたウォーキング3選
がわかります。
この記事に興味を持ってくださった貴方の健康の参考になれば嬉しいと思いますのでぜひ最後まで読んでみてください。
では早速行ってみましょう。
「歩く」という動作の仕組み
まず「歩く」という動作の基本的な行程について考えてみましょう。
「歩く」動作を細分化し言葉で表現すると、
- バランスを保ち立った状態から移動したい方向へ少し体を傾け(体重移動)
- 体重移動と同時に脚の片方とその逆の腕を前に出してバランスを取りながら体重を支える(着地)
- 支えた片脚で移動したい方向へ重心を移動(体重移動)
- もう片方の脚とその逆の腕を前に出してバランスを取りながら体重を支える(着地)
- この動作を左右交互に連続して入れ替えることで体を行きたい方向へ移動する
という動作となります。
「歩く動作」というのは体重を行きたい方向へ移動させる動作といえますね。
もう少し細かく解説すると
まず歩く動作のためにはバランスを保って立てることが大前提になります。
膝に力が入らなかったり足首に痛みがあって立てなかったら歩くことはできないですもんね。
あまり意識したことはないかもしれませんがまっすぐ立った状態で自分の体重の中心(重心)がどこにあるのかを確認してみましょう。
人によっては土踏まず付近で体重を感じるという方もいらっしゃいますが、踵から足の腹、指先までの足の裏全体で体重を感じられる状態がバランスの取れた良い立ち方です。
このバランスよく立った状態が歩く動作のスタートとなります。
バランスよく立った状態から体を行きたい方向(仮に前方とします)へ少し傾けると重心が足の裏全体からつま先の方へ移動するのがお分かりいただけるでしょう。
これを体重移動といいます。
この体重移動と同時に片方の腕を軽く曲げ前に出して上体がのけ反らないようにバランスを取り、反対の脚の膝を軽く曲げて太ももから持ち上げて前方に出し踵(かかと)から着地して倒れないように体を支えます。
なんか少しややこしいですね。
少し簡単な表現にすると
移動する体重を腕でバランスをとりながら片脚を出す動作を同時にすることで着地して支持するということです。
次に着地した脚の上で重心を踵からつま先へ移動し(体重移動)もう片方の腕でバランスを取りながら脚を出して着地と支持をすることで左右を入れ替える。
これを連続して繰り返すことで体を行きたい方向へ移動させていくことが「歩く」という動作となります。
また、体を傾ける方向を後ろの方(後傾(こうけい)と言います)にすると重心が足の裏全体から踵の方に移動するので、その体重移動と同時に片方の脚とその逆の腕を後ろに出してバランスを取りながらつま先で体重を支える。
体重を支えた足のつま先から踵に向かって重心を移動させもう片方の脚とその逆の腕を後ろに出してつま先で体重を支えるのが「後ろ歩き」いう動作です。
歩く動作というのは
「バランスよく立った状態からいきたい方向へ重心を傾けると同時に倒れないように腕でバランスを取りながら片脚で体重を支える動作を左右交互に繰り返す」
ということになります。
実際に歩いている時には何も感じませんが言葉で表現するとけっこう複雑な動作をしているように感じますね。
そしてここで見落としてはいけない重要なことが一つあります。
それは「歩く動作の最中は片脚で体重を支えながらバランスをとっている」ということです。
例えば体重65kgの方が両足でバランス良く立っている場合片脚にかかる体重は半分の32.5kgですが、片脚だと65kgの体重全てを支えなければなりません。
そして動いている状態の全体重を片脚で支えるだけではなくバランスをとる必要がありますから立っている時よりも筋力が必要になります。
さらに細かい部分に目を向けると実際に地面に接しているのは足の裏という少ない面積だけです。
移動する体重を足の裏という少ない面積で、しかも片足のみでバランスをとりながら支え、左右交互に連続して入れ替えて歩いているということになりますよね。
この動作を可能にしているのは足の裏、足首、膝、股関節、骨盤の柔軟性と体幹などそれぞれの筋力です。
それぞれの部位に必要な筋力があること、動かしたときに違和感や痛みがないことなどの総合的な要因がそろっているときに歩けるということになります。
私たちは無意識に歩いていますから気づきにくいですが2本の足で歩くというのはとても複雑な動作であると同時に総合的な要因がそろった場合にしかできない奇跡的な動作でもあるということですね。
「正常に歩ける」だけでも自分の体の健康状態を知ることができる一面があるということになりますから日常生活のためだけではなく健康管理をする意味でも積極的に歩く習慣をもちたいものです。
正しい歩き方(日常的な歩き方を解説)
この項では正しい歩き方について解説していきます。
まずはバランス良く自然に立ちます。
体重を両足全体で支えた状態で背筋を伸ばし腕は自然におろして立ちましょう。
胸を張り顎が前に出ないように少し引いて目線はいきたい方の遠くに向けます。
バランス良く立てたら次に歩く動作を一つ一つ確認していきます。
横から見た時の足首から頭までを結んだ中心線を意識して重心の位置を感じながら全体を前方に少し傾けます。(写真)
この時に踵からつま先に体重を送ってやるイメージをもつとやりやすいでしょう。
全身を傾けると同時に片方の脚と出した脚の反対の腕を前に出し踵から地面につきます。(写真)
この時に前に出した足が地面につくのは重心よりもやや前方(行きたい方向)になります。
腕は上体がのけ反ったり前屈みになったりまた体重移動でフラついたりしないように姿勢を維持してバランスを取る目的があることを意識してしっかり振りましょう。
踵で受けとった体重を踵からつま先へ移していきながらもう片方の脚と腕を前に出して踵から着地。
この動作を左右交互に入れ替えながら繰り返します。
重心が前に移動する分だけ脚を前について支えていくのが正しい歩き方であり、重心を支える動作を繰り返すだけで済むので余計な筋力が必要ない効率の良い歩き方となります。
歩く」というと太ももや膝に意識が集中してしまいがちですが体のふらつきを抑えるための腕の役割と、足の上でバランスを支えている足首、骨盤の上で背骨のバランスを取っている体幹も重要な働きをしています。
全身の筋肉でバランスを取りながら歩いていることを知識として知っていることは大切です。
目的による歩き方の違い
歩き方にはさまざまあります。
前記した歩き方は「日常的に体を移動させるための最も基本的な歩き方」でした。
ではさまざまな歩き方とはどんなものがあるでしょうか。
この項では目的による歩き方の種類とやり方について解説していきます。
歩き方には大きく分けて次の4つの種類があります。
1:日常的な歩き方
(自然に歩く)
買い物や公園を散歩したり、旅行先で散策する目的で歩く
2:運動としての歩き方
(意識的に歩く)
体を温める(準備運動)血液の循環促進のために歩く
3:トレーニングとしての歩き方
(負荷をかけて歩く)
体力、筋力をつけるために負荷をかけて歩く
4:競技としての歩き方
(速さを競って歩く)
ルールに沿ってスピードを競って歩く
の4つの種類がありますが違いは何なのでしょうか。
それは「歩くこと」に対する目的と意識の持ち方、そして運動強度の違いです。
ではそれぞれに少し詳しく解説していきます。
日常的な歩き方(自然に歩く)
私たちが日常的にしている歩き方のことです。
歩く動作の中で最も運動強度が低く、片脚で体重を支えバランスを取れるだけの脚力があればどなたでもできる動作となります。
仕事先への移動や買い物、公園の散歩や旅先での散策など日常生活を円滑に送るために欠かせない動作ですよね。
やり方は正しい歩き方(日常的な歩き方を解説)で解説した通りです。
運動強度(運動したときに体にかかる負担や負荷の度合い)はかなり低くダイエットや体の健康維持への影響はほぼないというのが実状です。
「毎日仕事で歩いてるんだけどなぁ」
「買い物で荷物持って歩いてるから運動になっているはずなんだけど痩せないのよねぇ」
などと感じるのは「日常的に歩く」という動作では運動強度が低いのでカロリー消費が少ないことが原因といえます。
あくまでも移動することが目的ですから仕方ないことなのかもしれませんね。
しかし公園や河川敷などを散歩することで肌で季節を感じられたりして気分転換になったりしますから、精神的なリラックスを得られて心の健康への影響が大きいという特徴があります。
買い物や通勤とは違った場所を歩くだけでも良い気分転換になったりしますよね。
運動としての歩き方(意識的に歩く)
日常的な歩き方とは違って「有酸素運動が目的の歩き方」のことです。
一般的に日本でウォーキングというとこの「歩く運動」のことを指す場合が多いですよね。
今回はウォーキングにしぼっての記事なので前記の「日常的に歩く」はウォーキング3選の中に入っていないのはこの理由からです。
日常的に歩く場合と違ってリズム良く一定のスピードで歩くことを意識することで心拍数が上がり呼吸の回数も増えるので酸素を多く含んだ血液が体の隅々まで運ばれる有酸素運動となります。
負荷をかけず自重のみで歩く軽い有酸素運動となるので、どちらかというと血液循環の促進や激しく体を動かす前の準備運動、クールダウンなどの目的で行われます。
日常的に歩く場合よりも健康や体の状態に対して意識を持って歩くのでどちらかというとト軽いトレーニングの一面をもつのもこの歩き方です。
日常的な歩き方は「歩く動作」なのに対して体に対する意識や目的を持って歩くのは「歩く運動」となり散歩とウォーキングの明確な境目と言えます。
やり方
立ち方や歩き方の基本は日常的な歩き方とほぼ同じですが、日常的な歩き方よりも歩幅を大きく取りリズム良く一定のスピードで少しだけ早歩きで歩きます。
(無理のない範囲でほんの気持ち歩幅を大きくするだけで良いです。)
軽く前傾姿勢を保ち踵で受けた体重をつま先まで移動させ、最後つま先で次の脚に体重を送り出してやるようにします。
(つま先で蹴り出すと表現されることもありますが、蹴るほどの強さは必要ないので送り出すと表現しています)
前に前にと歩けるように腕をしっかり振り、腰の回転と反対にねじれる肩の回転を意識しながら歩きましょう。
(無理にねじる必要はありません)
歩幅を大きくすることで腰は回転し腕も大きく振ることになるので肩も自然と回転します。
「腰と肩がねじれている方がたくさんの筋肉が動いているので良い歩き方」と認識しましょう。
無理にねじろうとする必要はないですが、腰と肩の自然なねじりを感じながら歩いている状態が望ましいです。
大股で腰と肩をわざと大きくねじって歩くというのも一つの歩く運動法でもありますが、その場合「体をほぐすこと」や「歩きながらのスクワット」することの方が目的になり負荷がかかってくるのでまた別なバリエーションになりますから注意が必要です。
負荷の度合いによってトレーニングとして歩く運動になってしまうので気をつけましょう。
呼吸は腹式呼吸を意識して、歩く速さの目安は時速4〜6km/hで歩きましょう。
時速4km/hの場合だと15分歩いた時に1km、30分で2km歩くことになります。
時速6km/hの場合だと15分歩いた時に1.5km、30分で3km歩くことになりますね。
歩く距離や時間はスマホのアプリなどで測ることができますから活用してみてください。
最近では運動用の腕時計に距離や時間、心拍数などを測ってくれる機能がついたものもありますから検討してみても良いかもしれません。
この歩き方の運動強度は弱〜中程度です。
運動強度よりも血流を促進させる有酸素運動が目的の歩き方ですから、運動前のウォーミングアップや運動後のクールダウン以外で歩く場合でも最低15分、できるなら30分〜1時間ぐらいを目標に歩くようにしましょう。
あまり負荷をかけずに長い時間歩く方が有酸素運動として最も効果的な歩き方になります。
トレーニングとしての歩き方(負荷をかけて歩く)
簡単に説明すると
「体力や筋力を向上させるために負荷をかけて歩く」
という歩き方のことで運動としての歩き方の延長にありますが、その目的は異なります。
前項「運動としての歩き方」では軽い有酸素運動をすることで血液循環の促進や体を動かす準備やクールダウンが目的だったのに対し、トレーニングとしての歩き方では心肺機能の向上や筋力アップを目指して負荷をかけて歩くというのが目的となります。
やり方
運動としての歩き方にバリエーションをつけたりウェイト(重り)をつけたりして歩きます。
バリエーションの簡単な例をあげると
・歩くスピードを上げて歩く(速歩)
・歩幅を限りなく大きくし腕を大きく振って歩く
・傾斜のある上り坂を一定のスピードで歩く
・長い階段をリズム良く上る
などがこれにあたります。
またウェイトをつけるバリエーションでは
・手首や足首にウェイトをつけて歩く
・水の入った500mlのペットボトルを持って歩く
・水が入った2Lのペットボトルを数本リュックに入れて背負って歩く
などがあり自分の体力に応じて負荷のかけ具合を調整してウォーキングします。
呼吸は腹式呼吸を意識してできるだけ体に酸素を取り込むことを意識しましょう。
一定の負荷で歩くときは自然呼吸で呼吸し、大きく負荷をかけるときは力が入る時に息を吐いて、力をぬく時に息を吸うように意識します。
呼吸は止めないように運動することが大切です。
運動強度は中〜強で調整できるのが特徴でご自身の筋力や体力に合わせた負荷のかけ方を、継続して運動することで徐々に体力を向上させていくことができる歩き方になります。
負荷をかけ過ぎて体を壊さないように注意しましょう。
競技としての歩き方(速さを競って歩く)
ズバリ「競歩」の歩き方です。
これは歩くスポーツで世界大会やオリンピック種目にも選出されたりする「歩く速さを競う競技のための歩き方」です。
歩くスピードは驚異の時速16km/h(1時間歩き続けたら16km移動できる速さ)にもなり、買い物に行く自転車のスピードよりもかなり早いスピードになります。
歩く距離は男子で50kmW と20kmW があり女子は20kmW で行われます。
歩き方にもルールがあり違反すると警告され、警告が多い場合は失格になるという比較的厳しいルール下で歩かなければなりません。
競歩の歩き方のルールは以下の2つがあります。
ロス・オブ・コンタクト
競技者は走ってはいけない。(歩いていなければならない)
競技者の足のどちらかが必ず地面に接触していなけれなならない。
両足が地面から離れた場合「走った」とみなされ違反を警告される。
ペント・ニー
前に出した足が地面についた瞬間から地面と垂直になる位置までは膝を曲げてはならない。
前に出ている足が曲がった場合は違反とみなされ警告される
上記2つの制約の中で速さを競う競技なので一般的な歩く運動とは全く違う歩き方になり、運動強度は歩く運動の中で最強です。
歩く運動は有酸素運動の代表ですが競歩に限ってはラストスパートやここぞの勝負で追い込む時などには無酸素運動になるほどの強度があります。
世界選手権やオリンピックに選出されるほどの競技で、歴としたスポーツですから技術や体力などをしっかりトレーニングしてから実践することをお勧めします。
まとめ
ここまで正しい歩き方と目的に応じたウォーキングの種類3選について解説してきました。
歩く動作
バランス良く立った状態から行きたい方向へ体重を傾け片脚でバランスを取りながら支えて、左右交互に入れ替えていくことで体重を行きたい方向へ移動させていくのが「歩く動作」でしたね。
正しい歩き方
重心が前に移動する分だけ脚を前について片脚でバランスを取り支えていくのが効率の良い正しい歩き方でした。
目的に応じたウォーキング3選
運動としての歩き方
トレーニングとしての歩き方
競技としての歩き方
を深掘りして解説してきました。
私たちは幼少期につかまり立ちをしてバランスを取って立てるようになり、何度も転びながら誰にも教わらず経験則だけで自然と歩けるようになります。
この歩く動作は日常的におこなっていますから気づきにくいと思いますが、正しい歩き方を少し意識するだけで歩くことが楽になり歩いて移動することが楽しくなったりします。
この記事を読んで正し歩き方がわかった時に
「ちょっと歩いてみようかな?」
と思えた時にはぜひ近くの神社や公園まで歩いてみてください。
私たちの生活の一番近くにある「歩く動作」とその延長にある「歩く運動」を日常に取り入れて健康的な未来を手に入れる参考にしていただけたら嬉しいです。
この記事に興味を持って読んでくださった貴方様がいつまでも健やかに若々しくいられるますように!が私の願いです。
貴方様が健康的な日々を過ごしていける一つの参考になればという思いでこの記事を書きました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。